開花

日曜日、家族でお昼を食べに出かけた帰りの川べりで、一本だけ梅が咲いているのを見つけました。
今年の冬は寒くて、長くて、悲しかったけれど、もうすぐまた、暖かい春が巡ってきます。

祖母の通夜と告別式は、実家の近所に最近できた、こじんまりとした斎場でしめやかに執り行われました。
ごく身内の人間以外には、祖母が生前親しくしていたお友達の息子さんや娘さん(といっても皆さん私の両親と同世代)が集まってくださって、皆で祖母の旅立ちを見送りました。
長く生きたので、見送る側の人数はすっかりコンパクトになってしまいましたが、きっとあちらの方では盛大な人数でお迎えしてもらっていることでしょう。
法事などでいそいそと立ち回る祖母の姿を見馴れていたせいか、葬儀の時も、会場で祖母が一緒にお経をあげて拝んでいるんじゃないかという錯覚が何度もよぎりました。
遺影は10年ほど前に母と京都に花見に出かけた時のものらしく、ふっくらとしたいい笑顔で、終始、会場を温かく見守ってくれていました。

祖母は、お気に入りの服を着せてもらい(倒れるまでは家でもずっとスカートをはきたがっていたそうなので、久しぶりにスカートをはいていました)、プロの方にきれいにお化粧をしてもらい(究極のナチュラルメーク!)、好物のお饅頭やチョコレート、それにたくさんのきれいなお花達に包まれて、旅立っていきました。
子ども達も、通夜・告別式はもちろんのこと、火葬場にも一緒に行って収骨に立ち会い、長男はお骨も拾いました。
母からは、小さい子にはショックが大きいのではと言われたのですが、私はしっかり最後まで立ち会って見届けさせてやりたいと思っていました。
祖母の死を聞いた時には打ちひしがれていた長男ですが、葬儀では、棺の中の祖母と最後のお別れをする時に静かに涙ぐんでいた以外は気丈に振舞っていたと思います。
全部終わってから「大ばあちゃん、骨になっちゃったね」と悲しそうにつぶやいていましたが、もうめそめそ泣く様子も見せません。彼なりに、ここ数日の間に、大ばあちゃんの旅立ちを受け止めることができたのかな、と思います。
次男は通夜の会場で走り回って、置いてあった看板に顔から激突して切り傷を作ったり、派手に転んだりとまあ子どもらしく元気を持て余してはいましたが、二日間、お兄ちゃんと一緒に頑張ってくれました。

以前祖父が亡くなった時、私は収骨には行っていないので、今回が初めての経験でした。火葬場の方に、九十七歳の女性にしては、しっかりした骨で量も多い方です、と説明していただきました。骨壷に入りきらなかったお骨は、火葬場の敷地内にある塚に埋めていただけるとのこと。たまたまこの日は実家のある市内の火葬場が定員いっぱいで、私の住んでいる市の施設を使わせていただいたので、祖母はうちの近くにも眠ってくれてることになります。

亡くなる当日の淋しい雪景色から一転、翌日からは、きれいな冬晴れの日が続きました。
ようやく自宅に帰って来て、きれいな姿になって、皆に見送られて、祖母も安心できてるといいな・・・。
今回改めて、こういった冠婚葬祭の儀式のプロセスは偉大だなと感じました。
寒い中、手配に追われた母達は大変だったと思いますが・・・。

今日は日差しが少し暖かく、春がほんとにすぐそこまで来ているのを感じました。
次男の幼稚園では、春を探す散歩に出かけたんだそう。
もう少し立ち止まっていたくても、新しい時間がどんどん流れ込んできます。